君の声、私の欠片。

久し振りに聞いた君の声は、疲れているだろうに、明るくて、澄んでいた。
「お疲れさま」と「ありがとう」を、お互い、声にする。
貴方が「謝りたい事がある」と切り出し、その内容が貴方らしくて、お互いに笑う。
それから、お互いの近況報告や、昔話なんかをする。
思いの他、穏やかな声だったから、きっと疲れていても充実の日々を送り、心が豊かなのだろう。

私の絵を贈る約束が、今日の今日まで延期になっていて、あやふやだった。
その話をする。
「あの時の、こんなタッチが好きだから、そんな感じで」と、貴方が言う。
「あの頃とは、また描き方が変わっているけど、顔晴ってみるよ」と伝えると、「それもまた、面白い」と、また、お互いに笑う。

そして、「でも貴方の絵なら、貴方が私を思って描いてくれる絵なのだから、何でも良いんだ」と、貴方が笑いながら言う。
私は、「その言葉、嬉しくて泣いちゃうよ」と、笑って答えて、実際に嬉しさで涙が溢れた。
嗚呼、電話で良かったと、思う。

ありがとう。
君の声と言葉に、私は救われた気がする。
私は私のままで良いんだ、と。

だから私は、君を思いながら、絵を描くよ。
こんな私の欠片を所望してくれるのなら、君の好きな鳥を、この心の中から探し出して、君の為に描くよ。