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【 yama_me 】
Artist. Painter.
Amateur Musician :Andes25F.
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絵描き。何か作っている人。
時々音楽。鍵盤吹奏笛アンデス25Fを演奏。
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20230431-0501の夢:狐の子 […夢の覚書]

小さな古びた温泉街。知る人ぞ知る温泉と言えば聞こえは良いけど、泉源がひとつなので、それほど大きくはならなかっただけの町。
人口も少なく、賑やかさは無いが、それ故に穏やかであることが魅力となっているのかもしれない。

この町に来たのはいつだったろ。
毛が皆と違って白いからと虐められ、逃れ逃れてこの町に来た。自分が大人だったらもう少し抵抗できたのに。
親は知らない、いない。自分ひとり。
そのままの姿だとキツネと呼ばれて追われるけれど、不完全ながらもヒトに化けることが出来るので、その姿で何とか生きている。
その姿は人間からは小学生くらいの子供に見えるらしい。「僕」とか「嬢ちゃん」とか呼ばれる。自分はその何方でもないけれど、そのお陰で可愛がってくれる人がいることが有難い。
その姿で町の人達のお手伝いをして小銭を稼いでいる。

この日は、雑貨屋の配達と飲み屋のトイレ掃除を頼まれていた。
雑貨屋の小さなおばあちゃんは、配達が終わった後に賃金と一緒におやつを付けてくれる。今日は小さなカステラ。これが甘くて美味しい。
飲み屋のおばちゃんは煙草臭くて化粧が濃いのが少し嫌なんだけど、酔っ払いに絡まれた時には庇ってくれるなど、とても良くしてくれる。「こんなに小さいのに親のために頑張っているなんて偉いねぇ」と、賃金を多めにくれたり、賄いをカウンターで食べさせてくれることもある。

住処は町の外れ、小高い丘の上にある神社裏の林の中。
お社を中心に円を描くような急な階段が左右にあり、右から登って左から降り、くるりと回って参拝できるようになっている。 小高い場所にあるので、誰も裏手のことは気にしておらず、居心地が良い住処になっている。誰も自分が此処に住んでいることを知らない。
いや、ひとり、いた。
この神社に住んでいる同胞、金色の毛を持つ仲間。年齢は彼の方が少し上。自分のことを気にかけてくれている友人…正確には友狐、か。
彼は此処の神社で生まれ住んでいる。親は忙しく働いているらしく、此処にいることはあまりない。修行と称して、彼が色々と此処で頑張っているらしい。
その親達も自分のことには薄々気がついているっぽいけど、同胞ということもあり、気にせずにいてくれているようだ。

ここ最近はお互いヒトの姿で、宮司さんと一緒に次のお祭り用のお守りの準備をしている。
紙が巻かれた小さなお札、木の実、貝殻、それと小さな布袋。これをセットにして白い紙袋に入れていく。
お祭りの夜、大切な人たち同士で対になり、一人がお札と実と貝を布袋に入れ、それを受け取ったもう一人が袋の中に息をひとつ吹きかけて紐を縛って、お守りは完成する。
出来上がった白い紙袋が三宝に積み上げられていくのを見て、案外町の人って多いんだなと思ったりしながら、黙々と作業は続く。
お祭りは明日。

夜、作業が終わって、住処に戻って、丸くなって眠る。
誰かといた後、ひとりになるのはやっぱり寂しい。

翌日、お祭り。小さな温泉街でもそれなりに賑やかになる一日。
子供達は浴衣なんかを着せてもらったりして、きれいな兵児帯がゆらゆらと金魚の尾鰭みたいに揺れている。雑貨屋のおばあちゃんがそれをにこにこと眺めている。
大人達は明るいうちからお酒を飲んで騒いでいる。飲み屋のおばちゃん、いつもより化粧が濃いみたいだ。
自分はそれを近くの草むらから眺めている。自分は普段通りの格好だし、友達がいるわけでもないから。皆の中にいる方が余計寂しくなる。眺めているのも寂しいけれど。人間が羨ましくもある。

徐々に暗くなると、皆、手に小さな蝋燭提灯を持って神社の鳥居の前に集まってきた。
正装した宮司さんが三宝に積まれた白い紙袋を神前に捧げ、祝詞を唱えながら大幣を振る。人々は首を軽く下げ、その祝詞を静かに聞いている。
それらが終わると、人々は鳥居をくぐり、右側の階段を静かに登ってくる。急な階段なので、皆それぞれに助け合いながら、ゆっくりと。
お社の前にたどり着くと、静かにお参りし、宮司からひとりひとりにお守りセットが入った紙袋を渡される。受け取った人々は、来た時と同じように、左側の急階段を降りていく。
階段を降りた境内で、皆それぞれにお守り作りを始めている。大切な相手を思いながら布袋に詰め、受け取った人は感謝とこれからの事を願いつつ、息を吹き込む。穏やかで温かな光景。

それらを見ていると、寂しさで胸が苦しくなった。

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…ってところで目が覚めた。

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